- 歯列矯正をしたいけど歯科医院の選び方がわからない
- 矯正の先生との相性が心配
- できるだけ安く歯列矯正をする方法が知りたい
歯列矯正をしようと考えているあなたは、このようにお考えではありませんか?
費用も高額で時間がかかる治療のため、実際に初回カウンセリングに行き、矯正医としっかり相談して判断することが大切です。
そこで実際に歯列矯正をして3年半の私が、歯科医院を探すときに注意した点や通院していて気づいた点を解説します。
ワイヤー矯正をしている目線での体験談もいれながら解説しています。歯列矯正の歯科医院選びで迷っているかたの参考になれば嬉しいです!
ぜひ最後までお読みください。
1. 歯列矯正の医院の選び方8つのポイント
医院選びのポイントを8つにまとめました。
【ポイント①:歯列矯正の資格保有者である】
【ポイント②:治療の選択肢】
【ポイント③:支払い方法】
【ポイント④:通える曜日・時間帯の予約が取れる】
【ポイント⑤:トラブル時にすぐ行ける距離】
【ポイント⑥:矯正医との相性】
【ポイント⑦:担当の矯正医を指名できる】
【おまけポイント:噛み合わせまでみれる】
それぞれ解説していきます。
【ポイント①:歯列矯正の資格保有者である】
歯列矯正は歯科医であれば誰でもできる治療なので、歯列矯正の知識や経験の浅い医師が施術するケースもあるようです。
より安心して施術を受けるために、まずはきちんと矯正医としての資格がある医師を探しましょう。
資格は矯正歯科に関連する学会がそれぞれ定めており、その学会自体もいくつかあります。
- 公益社団法人 日本矯正歯科学会
- 特定非営利活動法人 日本成人矯正歯科学会
- 公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会
- 一般社団法人 日本矯正歯科協会
上記以外にもあります。
私が矯正医を探すときは、設立が古く会員数が多いという理由で1番目の「日本矯正歯科学会」の資格保有者に絞りました。
各学会で定める資格の基準は異なります。「日本矯正歯科学会」には認定医・指導医・臨床指導医(旧専門医)の資格があり、それぞれの簡単な違いは以下のとおりです。
日本矯正歯科学会「専門医」は「臨床指導医」へと名称が変更されております。
日本矯正歯科学会 矯正歯科治療のQ&A
認定医資格をもつ先生は、5年以上の矯正歯科の学識、技術および臨床経験を有しており指導医は12年以上の研究、教育および臨床経験を有しており、多くは大学に所属しています。臨床指導医はさらに高度な学識、技術はもとより豊富な臨床経験等を有している先生を認定しています。
資格の難易度は、臨床指導医(旧専門医)>指導医>認定医となり、難易度に従って資格保有者の数も少なくなります。
下記URLから、都道府県別に認定医・指導医・臨床指導医(旧専門医)を検索して、資格保有者が近くの歯科医院に勤務しているか確認できます。
日本矯正歯科学会
認定医・臨床指導医名簿一覧
各学会のHPには資格所有者を検索できるページがあります。参考までにいつくか載せますので気になるかたはチェックしてみてください。
- 特定非営利活動法人 日本成人矯正歯科学会
認定医・専門医一覧 - 公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会
近くの会員医院を検索 - 一般社団法人 日本矯正歯科協会
認定歯科矯正医名簿(旧JBO認定歯科矯正専門医)(50音順)
【ポイント②:治療の選択肢】
矯正方法はあらかじめ決めておくと探しやすいです。
- マウスピース矯正
- ワイヤー矯正(表側・裏側・上は表側で下は裏側のハーフリンガルなど)
→ワイヤー矯正は、ブラケット(歯1本ずつにつけるボタンのようなもの)やワイヤー自体の種類も複数あり
どれを選ぶかで費用が変わってくるので、医院のHPを見て希望の組み合わせを事前に考えておきましょう。
矯正医の治療方針によっては、希望している治療以外を勧められる場合もありそうです。
私は最初からワイヤー矯正を希望していたのですが、試しにマウスピース矯正の話を聞いてみたところ、私の場合は歯並びのガタガタが酷かったので「マウスピース矯正だと時間がかかり過ぎるのでおすすめしない」と言われました。
【ポイント③:支払い方法】
歯列矯正の期間にかかわらず費用固定の「トータルフィー」と、通院のたびに費用が発生する「都度払い」があります。(言い方はさまざまですが、方法としては2種類です)
トータルフィー | 都度払い |
費用総額が事前にわかる 治療期間延長やトラブル対応があっても追加費用が発生しない 治療期間が予定より短縮されても返金されない | 毎回治療で発生した費用のみの支払なので歯列矯正を始めやすい 治療期間が短い場合は安く済む可能性がある 治療期間が長くなると費用がかさむ |
実際に矯正を始めてみないと予定していた期間が短縮されるか延びるかはわかりません。どちらがいいか判断が難しいですが、私を例にすると予定より1年半延びています。
私の周りの経験者に話を聞くと、予定より期間が短縮した話はあまりないようです。しかし、前歯だけの矯正など部分的な治療であれば短い期間で終わっている経験者もいます。
治療のレベルやご自身の支払い計画を考慮して、矯正医と相談しながら検討しましょう。
【ポイント④:通える曜日・時間帯の予約が取りやすい】
矯正期間中は月に1回通う必要があります。矯正医が常勤か、勤務の曜日や時間帯が決まっているかによっても希望の曜日・時間帯の予約の取りやすさが変わります。
毎回の治療時間は30分~1時間ほどなので、ご自身の都合がよく予定変更が発生する可能性が低い曜日・時間帯を決めておき、医院の診察時間で通えるか確認しましょう。
希望の日時で予約が取りやすい状況かは、実際に初回カウンセリングにて聞いておくポイントとなります。
【ポイント⑤:トラブル時にすぐ行ける距離】
歯列矯正のトラブルは自分では対処できない部分が多いので、できるだけすぐに通える距離の医院をおすすめします。
ワイヤー矯正では、ブラケット(歯1本ずつにつけるボタンのようなもの)が外れることがあります。チョコレート入りのアイスやハード系のパン、グラノーラを食べるとよく外れます。日常的に食いしばりや歯ぎしりが多い人も外れやすいそうです。
ブラケットはワイヤー矯正の命なのですぐにつけ直す必要があり、急遽平日の夕方や土曜日に対応してもらうことがあります(矯正の進行具合や外れたブラケットの位置によって、次回通院まで放置していい場合あり)。
遠方だと都合がつかず対応してもらうまで時間があく可能性があるので、すぐに行ける距離だと安心です。
ほかにも、歯並びを大きく動かす治療のときはワイヤーの端が余ってきて奥歯側の頬に刺さってくるので、端をカットしてもらいにいくことが多くなります。歯並びを変える時期やすき間を詰める時期はワイヤーの端が余りやすく、ほんの2ミリほどでもかなり痛いです。
ワイヤーカットの時間が取れない場合や次回通院日が近い場合は、専用のガムのようなもので飛び出たワイヤー部分を覆って過ごす方法もあります。このアイテムは矯正の先輩に教えてもらいました。
GISHY-GOO(ギシーグー)
【ポイント⑥:矯正医との相性】
個人的にはここが一番重要だと思っています。小さな疑問点や違和感も話せる雰囲気の矯正医でないと、納得した治療になりません。
人によって期間が変わりますがだいたい2年~3年、毎月調整で通うことになります。そしてワイヤー矯正の場合は矯正装置を除去したあと保定期間(矯正した形を定着させるためにマウスピースなどで固定する期間)があります。
矯正装置の装着から保定期間が終わるまで合計で5~6年ほどのお付き合いになるわけですね。
私は現在まだ矯正装置での治療期間中ではありますが、ほんとうに毎月気になる点が出てきます。噛み合わせが気持ち悪かったり、歯のすき間が広がったり、虫歯のような痛みが出てきたり。
その小さな気になる点を毎月伝えるのは正直億劫になります。「そんなとこ気にしてるの?」なんて思われそうでどきどきします。
しかし、矯正医にとってはどうでもいいことでも、患者にとっては大きな不安の種です。なんでも聞ける・何度でも聞ける関係性でないと、患者側の感覚的な部分は矯正医には伝わりません。
先生と患者の関係ですが、人間関係の相性として考えてみましょう。初回カウンセリングの時点で、話し方や聞き入れてくれる態度などの相性は確かめられると思います。
【ポイント⑦:担当医を指名できる】
私は指名して毎回同じ矯正医に施術してもらっています。「前回あの先生に説明したのに、また同じこと聞かれた!」「あの先生とこの先生、言ってることが違う!」ということがよくありました。
担当医をつけていても同じ説明をしないといけないこともあります。私の担当医が忘れっぽいだけなのかもしれませんが……
複数の意見を聞けるのがメリットととらえる場合は指名しなくてもいいでしょう。矯正医同士で連携を取ってくれますので、大きな問題はありません。
私の場合は「以前質問したけどまた聞きたい」というとき、矯正医が固定でないと「あの先生に〇〇について聞いたら△△と言われて、」など前置きが必要になって説明が面倒でした。
せっかちで心配性な私には、担当医の指名が合っていると実感しています。
【おまけポイント:嚙み合わせまで見てくれる】
噛み合わせまでしっかり気になる場合は、矯正医の経歴に「日本顎咬合学会」「日本全身咬合学会」など噛み合わせに関する学会の記載があるかを確認します。
私は顎関節症なので、より噛み合わせに知識があると安心だと思い医院選びのポイントに追加しました。
歯列矯正とはそもそも「悪い歯ならびや噛み合わせを、きちんと噛み合うようにして、きれいな歯ならびにする歯科治療」(参考:日本矯正歯科学会)と定義されています。
咬合学会にも認定医の制度があるので矯正と咬合の両方の認定医だと説得力が増しますが、矯正医の数が限られます。
咬合学会の認定医であるかどうかは、「あれば安心」程度のポイントにしていました。
ちなみに、初回カウンセリングに行ったそれぞれの医院で「歯列矯正で顎関節症は治るのか」を聞いたところ、2つの医院と現在通っている医院では回答が違っていました。
噛み合わせの知識がある矯正医だから回答が違ったとは言い切れませんが、初回カウンセリングの時点で期待しすぎずに済んだので結果的に良かったと思っています。
2. 歯列矯正の初回カウンセリングは最低3軒いく
矯正医によって治療方針が異なります。治療方針や矯正医との相性や医院の設備の比較をするためにも、初回カウンセリングは最低でも3軒いくことをおすすめします。無料でやっているところが多いですが、まれに数千円かかる場合があります。
カウンセリングにいくときは事前に質問事項を用意して行きましょう。私はスマホのメモ帳に箇条書きにし、聞いた内容を医院ごとにまとめていました。
質問事項として用意したのは以下です。
- 矯正期間
- 矯正費用と矯正以外にかかる費用
- 分割払い可能か
- 矯正担当医が常駐か
- 抜歯/非抜歯の選択肢、それぞれのメリット・デメリット
- 噛み合わせまでチェックしてくれるか
- 虫歯治療やクリーニングは別の医院になるか
- 歯列矯正のデメリット(一般論ではなく、自分自身の歯並びに対しての部分)
- 矯正して顎関節症は治るか
情報をできるだけ多く集めたくなると思いますが、私が検索していたとき、X(旧Twitter)で「相談に行きすぎて決め手がわからなくなった」「相談疲れした」「相談だけで数か月経ってしまった」などの声がありました。
情報疲れしないために、多くても5軒くらいにしておいたほうが良さそうです。
ちなみに、医院が決まって「さあ、装置をつけるぞ!」となったあと、歯磨きの丁寧さが大切になります。矯正装置で磨きにくくなるので虫歯予防が必要です。
私が実際に使っているアイテムをまとめましたので、気になるかたはのぞいてみてください。
歯列矯正中のケアグッズ7選!歯磨きのコツもチェック【ワイヤー矯正】
3. 歯列矯正の費用を安く抑える方法
歯列矯正の費用自体は、顎の変形や特定の症状を除き保険適用外のため自費治療です。安くする方法ではありませんが、以下3つを活用してみてください。
私が3つの医院に相談に行って出してもらった費用の差は数万円~十数万円ほどで、あまり差はありませんでした。(そもそも高額なので十数万円すら誤算の範囲と感じていました……)
【方法①:モニター】
医院によっては、症例としてHPやSNSに掲載する代わりに少し安く歯列矯正ができるモニターやキャンペーンをしていることがあります。医院によって価格の幅がありますが5万円~10万円ほど安くなるようです。
参考:天神オーラルケアクリニック 矯正歯科のモニター募集
私が探しているタイミングでも矯正医が独立したばかりであろう医院で実施していました。
モニターになるための審査有無や条件があるので、興味があればまずは話を聞いてみることをおすすめします。
【方法②:分割払い】
医院によって用意されている分割方法はさまざまです。
- 医院指定回数での分割払い
- ご自身が持つクレジットカードでの分割払い
- デンタルローンでの分割払い
クレジットカードやデンタルローンは細かく分割できますが、分割手数料がかかりますし、ローンを組む場合は審査が必要となります。
医院指定回数での支払いは6回、12回など指定された回数内での分割払いですが、手数料がかかりません。
どの選択肢があるか医院に聞いてみましょう。
【方法③:医療費控除】
見た目をきれいにする審美目的の場合は医療費控除の対象外となりますが、歯列矯正が必要となる「不正咬合(ふせいこうごう)」は控除の対象です。確定申告によって控除を受けられます。
歯がふぞろいだったり、上下のアゴの歯ならびがお互いにちゃんと噛み合わない状態を、専門的には「不正咬合」といいます。
日本矯正歯科学会
矯正歯科が必要な「不正咬合」:出っ歯(上顎前突)、受け口(反対咬合)、八重歯・乱ぐい歯(叢生)、開咬、手術が必要な顎変形症
「私の矯正は対象外だったらどうしよう」と心配だったので担当の矯正医に確認したところ、「行政から指摘されたら審美目的ではない歯列矯正である旨を一筆書きますよ」とのことでした。心配な場合は矯正医に聞いてみましょう。